ウミタナゴは、堤防釣りなどでよく釣れる魚です。
「あまり美味しそうじゃない」という声も多く、リリースされがちな存在です。
しかし、実は調理の仕方次第で「えっ、これ本当にウミタナゴ?」と思うほど美味しく食べることができるのです。
本来の旨味を引き出すことで、食卓でも十分満足できる一品になるのです。
この記事を読めば、ウミタナゴを「がっかりな魚」から「ちょっと嬉しい魚」へとランクアップさせるコツがしっかり身につきます。
せっかく釣った魚を無駄にせず、美味しく食べる楽しさを味わいたい方に、ぜひ読んでいただきたい内容です。
ウミタナゴは、身近な釣り場でよく見られる手軽に釣れる魚でありながら、珍しい生態を持ち、調理次第で美味しくいただける魚です。
初心者からベテランまで、釣って楽しく、食べて意外に美味しい「ちょっと侮れないターゲット」と言えるでしょう。
ウミタナゴは、スズキ目ウミタナゴ科に属する海水魚です。
淡水のタナゴに似ているので、区別するために「ウミ」が付けられました。
近年、「アカタナゴ」「マタナゴ」「ウミタナゴ」に区分けされましたが、この記事では一般的な「ウミタナゴ」の総称として解説します。
体長 | 25cm前後まで成長 |
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分布 | 北海道南部以南の沿岸 |
前鰓蓋 | 黒色斑 |
生息域 | 沿岸 海藻のある岩礁域 |
食性 | 甲殻類、多毛類、プランクトン など |
特徴 | 卵ではなく稚魚を産む卵胎生 |
漢字 | 海鱮 |
地方名 | タナゴ、マルタナゴ、ギンタナゴ など |
ウミタナゴには単生類(たんせいるい)という寄生虫の一種が、主に鰓(えら)に寄生していることが確認されています。
ただし、人体に感染することはなく、食用としてのリスクは極めて低いため、基本的には心配ありません。
ウミタナゴに限らず、天然の魚は環境に影響されやすいため、寄生虫がいる確率は完全にゼロにはなりません。
ウミタナゴはメスのお腹の中で卵を孵化させ、ある程度育った稚魚の形で産み出す「卵胎生(らんたいせい)」の魚です。
この「卵胎生」の特性から一部の地域では、安産祈願や「逆子になる」とされ、妊婦に食べさせない風習が存在します。
これは、ウミタナゴの出産様式が由来とされる地域信仰です。
地域の文化や伝統に根ざしたものであり、科学的根拠はありません
ウミタナゴは「まずい」と言われがちですが、調理法次第で美味しくいただける魚です。
クセがなく主張が弱いため、淡白な白身を活かした調理がポイントです。
裏を返せばアレンジの幅が広いということ。新鮮なうちに適切な下処理をすれば、臭みはまったく気になりません。
野食ハンター茸本朗様
塩焼きは、魚本来の味をダイレクトに楽しめる、最も簡単で基本的な調理法です。
ウミタナゴの身は水分が多いので、しっかりめに塩を振り、30分以上寝かせます。
塩の浸透圧により、身の中の余分な水分が浮き上がるので、ペーパーで拭き取り、再度塩を振ってじっくり焼き上げます。
ウミタナゴは唐揚げにすることで、そのクセのない白身とジューシーさが引き立ち、小骨の多さも気になりません。
中骨が気になる方は、開きにしてから揚げることで食べやすくなります。
また、小ぶりな個体であれば、頭と内臓だけ取って丸ごと揚げるのもおすすめです。
ウミタナゴの身は水っぽく柔らかいので、寝かすことで程よく水分が抜けて、もっちりとした食感に変わっていきます。
身に薄く塩を振り、一昼夜寝かすともっちりと、旨みが凝縮された味わいになります。
寝かせることで、タンパク質が分解され、アミノ酸に変化して旨味が増します。
ウミタナゴは堤防や磯で手軽に釣れる、私たちにとって非常に身近な魚。
銀色で平べったく、春にはお腹で稚魚を育てる「卵胎生」というユニークな特徴を持っています。
この生態から「安産祈願」の縁起物とされる地域もあれば、「逆子の魚」と呼ばれる俗説もあったり、なかなか興味深い存在です。
ウミタナゴは釣り人の間で“外道”扱いされがちな魚ですが、実は調理方法次第で美味しく食べられる白身魚です。
水分が多く淡白なため、確かに何も工夫せずに焼いただけでは「まずい」と感じる人もいます。
しかし、塩焼きや唐揚げ、さらには工夫を凝らした刺身にすることで、十分に魅力ある一皿になります。
クセがなく主張が弱いため、淡白な白身を活かした調理がポイントです。
裏を返せばアレンジの幅が広いということ。新鮮なうちに適切な下処理をすれば、臭みはまったく気になりません。
ウミタナゴの身は水っぽく柔らかいので、塩をすることで程よく水分が抜けて、旨味も濃くなり様々な調理で美味しく食べれます。
ウミタナゴは、決して「がっかりフィッシュ」ではありません。
正しい知識を持って向き合えば、釣りの楽しみを食卓まで広げてくれる素晴らしい魚です。
釣ったその日にしっかり下処理をして調理すれば、家庭でも十分に“おかずの主役”になれる魚です。
調理の工夫でその魅力を再発見してみてください。
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