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シュールストレミングはなぜ臭い?なんのために誰が食べるの?

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シュールストレミングはなぜ臭い?なんのために誰が食べるの?
 

「世界一臭い缶詰」という不名誉な(?)称号を持つ、スウェーデンの伝統的な発酵食品「シュールストレミング」。

その名前を聞いただけで、顔をしかめてしまう人もいるかもしれません。

YouTubeやSNSでは、チャレンジャーたちが悶絶する動画が後を絶たず、その衝撃的な映像はもはや伝説と化しています。

しかし、シュールストレミングは、ただ単に「臭い」というだけで終わる食べ物ではありません。

なぜこれほどまでに強烈な臭いを放つのか?その背景には、驚くべき科学のメカニズムと、北欧の厳しい自然が生んだ知恵と歴史が隠されています。

この記事では、「シュールストレミングはなぜ臭いのか?」という根本的な疑問からスタートし、その科学的な理由、文化的な背景、さらには「一度は体験してみたい!」という方のために、正しい食べ方や入手方法、注意点までを徹底解説していきます。

 
 

そもそも「シュールストレミング」とは?

そもそも「シュールストレミング」とは?

「世界一臭い食べ物」として知られるスウェーデンの缶詰、シュールストレミング(Surströmming)。

その強烈な臭いばかりが注目されがちですが、れっきとしたスウェーデンの伝統的な保存食なのです。

バルト海で獲れる小ぶりのニシンを塩水に漬け込み、自然発酵させて作られる発酵食品です。

参考:Wikipedia
 
 

世界で食べられている臭い食べ物ベスト5

順位 名称 臭さの数値 備考
1位 シュールストレミング 8,070Au ニシンの塩漬け スウェーデン
2位 ホンオフェ 6,230Au ガンギエイ 韓国
3位 エピキュアチーズ 1,800Au 缶詰チーズ ニュージーランド
4位 キビヤック 1,370Au 生の海鳥をアザラシの腹に詰める カナダ
5位 焼きたてのくさや 1,267Au ムロアジ 日本
引用:東京聖栄大学 臭い食べ物ベスト5
 

シュールストレミングアイコンなぜ臭い?どんな匂い

シュールストレミングの臭さの秘密は、ニシンが持つ酵素と乳酸菌が引き起こす、複雑な発酵プロセスにあります。

ニシンがもともと持っている消化酵素が、発酵過程で魚のタンパク質や脂質を分解し、アミノ酸や脂肪酸に変化させます。

これが独特の旨味や風味の元となると同時に、悪臭の元となる成分も生成されます。

シュールストレミングの臭いは、単なる生ゴミやドリアンの比ではありません。

その臭いのレベルは、公衆トイレの強烈なアンモニア臭腐った卵の腐敗臭、そして吐き気を催す酸っぱい雑巾臭複合的に襲いかかってくるイメージです。

微生物の働きが活発なまま密閉されていることが、世界一臭い理由です。

シュールストレミングの強烈な臭いは、単一の成分によるものではありません。

複数の悪臭成分が複合的に作用することで、あの「究極の臭い」が生まれるのです。

主な悪臭成分は以下の通りです。

  • 硫化水素:卵の腐ったような、最も不快とされる臭い
  • 酪酸・プロピオン酸:吐瀉物や足の臭いにも似た、不快な酸っぱい臭い
  • 酢酸:ツンとくる酸っぱい臭い
  • アンモニア:鼻を突く「公衆トイレ」臭

シュールストレミングアイコンなんのために誰が食べるの?

なんのために誰が食べるの?

これほどまでに強烈な臭いを放つ食品が、なぜスウェーデンで長年愛され続けてきたのでしょうか?

その背景には、北欧の厳しい自然環境と、人々の知恵が生み出した興味深い歴史があります。

シュールストレミングのルーツは、16世紀頃の北欧にまで遡ると言われています。

当時、塩は非常に高価で貴重なものでした。

そのため、多量の塩を使わずに魚を長期保存する方法として、少量の塩とニシンが持つ自然の酵素・乳酸菌による発酵を利用したこの製法が発達したのです。

厳しい冬が長く、新鮮な魚介が手に入りにくい地域において、シュールストレミングは貴重なタンパク源として、人々の食生活を支える重要な保存食でした。

シュールストレミングアイコン現在では夏の終わりを祝う特別な食べ物

「世界一臭い」という強烈なインパクトから、単なる罰ゲーム的な珍味として捉えられがちなシュールストレミング。

しかし、実はスウェーデンでは特定の時期に楽しまれる、伝統的な夏の味覚なんです。

なぜ、シュールストレミングが夏と深く結びついているのでしょうか?

そこには、ニシンの漁獲期、伝統的なお祭り、そして流通の歴史が大きく関係しています。

シュールストレミングの原材料となるニシンは、春にバルト海で漁獲されます。

  • 漁獲期: 主に4月~5月頃にニシンが豊富に獲れる
  • 製造開始: 漁獲されたニシンを塩漬けにし、発酵プロセスを開始
  • 熟成期間: 発酵・熟成には数ヶ月を要するため、夏の終わり頃に食べ頃を迎える

スウェーデンでは、夏の終わり、特に8月の第3木曜日以降に「シュールストレミング・パーティー(Surströmmingsskiva)」が開催されるのが一般的です。

1980年代までは、品質管理のため、毎年8月の第3木曜日より前にシュールストレミングを販売することが禁止されていました。

現在はこの法的規制は撤廃されていますが、この「解禁日」の概念は伝統として強く残っており、多くの人々が8月の第3木曜日を過ぎてから新物のシュールストレミングを買い求め、パーティーを開く習慣があります。

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シュールストレミングを体験してみたい?

シュールストレミングを体験してみたい?

「世界一臭い缶詰」シュールストレミング。そのあまりにも強烈なインパクトは、知的好奇心を刺激し、「一度は体験してみたい!」と心をくすぐる人もいるでしょう。

しかし、日本でのシュールストレミング体験には、いくつかのハードルと、それなりの覚悟が必要になります。

 世界一臭い食べ物をスピリタスで洗うと臭いが消えるのか?

ホルモンしま田様

シュールストレミングアイコン国内の入手ルート

インターネットの普及により、日本国内からでもシュールストレミングを比較的容易に入手できるようになりました。

Amazonまたは特定の輸入食品サイトなどで「シュールストレミング」と検索すれば、取り扱いが見つかることがあります。

珍しい食品を扱う専門の輸入業者を通じて購入することも可能です。

日本でシュールストレミングを体験することは十分に可能です。インターネットでの購入ルートも存在し、実際に挑戦している人も多数います。

しかし、その強烈な臭いゆえに、購入から開封、そして後処理に至るまで、周到な準備と周囲への最大限の配慮が不可欠となります。

単なる好奇心だけで安易に手を出すと、思わぬトラブルに発展する可能性も秘めています。

シュールストレミングアイコン挑戦するなら知っておきたいマナー

挑戦するなら知っておきたいマナー

シュールストレミングの臭いは、日本の一般的な住宅環境や生活習慣において、著しい悪臭として認識され、近隣トラブルの原因となり得ます。

河川敷のバーベキュー場、キャンプ場、貸し切り可能な広大な敷地など、完全に屋外で十分な風通しがある場所を選んでください。

興味を持った友人同士で集まり、事前に臭いの危険性を共有し、納得の上で開封する。

汁や残飯は厳重に密封し、ビニール袋を何重にもして持ち帰り、各自治体の定める方法で廃棄する。

トラブル事例(準備不足や配慮不足があった場合)

  • 集合住宅のベランダで開封: 臭いが近隣に充満し、隣人から苦情が殺到
  • 公園での開封: 公園利用客から「臭いがひどい」「公衆衛生上問題がある」と通報
  • 生ゴミとして通常廃棄: 臭いがゴミ収集所全体に広がり、近隣住民から自治体へ苦情が多数
  • 室内で開缶: 部屋に臭いが染みつき、数週間から数ヶ月、消臭剤や換気をしても臭いが取れず

シュールストレミングアイコン現地の食べ方

現地の食べ方

現地スウェーデンでは、臭いを楽しむというよりは、独特の旨味と塩味を、薄いパン(トゥンブロード)に、蒸したジャガイモ、サワークリーム、玉ねぎなどと一緒に挟んで食べるのが一般的です。

臭いを抑える組み合わせにより、「香りより味を楽しむ文化」として定着し、一種の“郷土の味”であり、年に一度のお祭りの象徴でもあるのです。

もしあなたがシュールストレミングに挑戦するならば、屋外での開缶、適切な準備、そして周囲への配慮が何よりも重要であることを忘れないでください。

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シュールストレミングはなぜ臭い?なんのために誰が食べるの?まとめ

シュールストレミングはなぜ臭い?なんのために誰が食べるの?まとめ

この記事では、スウェーデンが誇る「世界一臭い缶詰」、シュールストレミングについて、その強烈な臭いの秘密から、歴史、文化、そして挑戦するための具体的な方法までを詳しく解説してきました。

単なる「臭い食べ物」という一面だけでなく、北欧の厳しい環境下で生まれた知恵と歴史が詰まった伝統的な発酵食品です。

その臭いの原因は、ニシンの自己消化酵素と乳酸菌による複雑な発酵プロセスにあり、硫化水素などの悪臭成分が複合的に作用していることがお分かりいただけたかと思います。

  • 「臭い=発酵が進んでいる証拠」
  • 「くさや」や「納豆」と同じく、文化と慣れが美味しさを決める
  • スウェーデンでは“伝統と季節を祝う食文化”として根づいている

シュールストレミングは、知れば知るほど奥深い、世界最強の発酵食品。

臭いの裏には「科学」と「文化」があり、それがこの珍味を特別なものにしています。

北欧の厳しい自然環境と、人々の知恵が生み出した興味深い歴史があります。

現地スウェーデンでは、臭いを楽しむというよりは、独特の旨味と塩味を、パンやジャガイモと共に味わう文化が根付いています。

もしあなたがシュールストレミングに挑戦するならば、屋外での開缶、適切な準備、そして周囲への配慮が何よりも重要であることを忘れないでください。

汁が飛び散ると臭いが強烈に付着するため、使い捨てのエプロンや手袋の着用を強く推奨します。

この記事が、あなたのシュールストレミングに対する好奇心を満たし、知的な刺激を与えることができたなら幸いです。

友人との会話のネタにしたり、あるいは勇気を出して一度体験してみたりと、シュールストレミングの奥深い世界をぜひ楽しんでみてください。

ただし、その強烈なインパクトは、きっと忘れられない記憶となるでしょう!

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シュールストレミングはなぜ臭い?なんのために誰が食べるの?FAQ

日本にもシュールストレミング(発酵ニシン)と似た性質を持つ発酵魚食品があります。代表的なものは「くさや」「鮒ずし」「塩辛」「魚醤(しょっつる・いしる・いかなご醤油)」などで、どれも魚を発酵・分解させて旨味を引き出す点で共通しています。
基本的にシュールストレミングは空輸できません。内部では乳酸発酵によって二酸化炭素や硫化水素などのガスが発生し、気圧変化によって膨張・破裂の危険があるため、航空機での運搬が禁止されています。日本で販売されているシュールストレミングは、スウェーデンから海上輸送で運ばれています。一定温度で管理しながら船便で輸送され、届くまでに1〜3か月ほどかかる場合もあります。
それぞれ臭いの種類が異なりますが、シュールストレミングの臭気濃度はこれらの中でもトップクラスです。ドリアンは、フルーティーな甘さと硫黄臭が混在する特徴があります。ホンオフェ(韓国の発酵エイ)は、ツンとくるアンモニア臭が特徴です。それに対し、シュールストレミングは腐敗臭、生ゴミ臭、硫黄臭、酸っぱい臭いなどが複合的に混じり合い、嗅覚を直撃する、より原始的な「悪臭」と感じられることが多いです。

 
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