岸壁や堤防にびっしりと付着したイガイを見て、「これって食べられるのかな?」
「ムール貝とカラス貝って何が違うの?」と思ったことはありませんか?
釣り場でよく目にするこの貝「食べられるかどうか」となると、注意すべき点がいくつかあります。
この記事では、「岸壁のイガイを食べると危険なのか?」という疑問、カラス貝との違いをふまえた上で、安全に食べられるかどうかを丁寧に解説していきます。
安心して楽しむために——。知っておくだけで、安全性も楽しさも格段にアップします。
「イガイ」とは、主に岩礁や堤防などの岸壁に固着して生息する、細長く黒っぽい見た目の二枚貝の仲間です。
釣り人の間では、古くから良質な釣り餌として、また身近な海の幸としても親しまれています。
生物学的には、在来種の「イガイ」と、外来種の「ムラサキイガイ」の二種類が混同して呼ばれることが多いです。
鳥取県:夏泊の伝統漁法「海女漁」イガイ現在、日本の沿岸で我々釣り人が「イガイ」と呼んでいる貝は、そのほとんどが外来種の「ムラサキイガイ」です。
日本在来の「イガイ」も存在しますが、生息域がやや異なり、見る機会はムラサキイガイに比べて圧倒的に少ないのが実情です。
どちらもイガイ科に属し、岩礁や堤防などの海辺の硬い場所に付着して生活する二枚貝です。
イガイ | ムラサキイガイ | |
---|---|---|
分類 | イガイ科イガイ種 | イガイ科ムラサキイガイ種 |
大きさ | 大きなものは20cm程 | 大きなものは10cm程 |
表面色 | 光沢のある黒褐色 | 光沢のある黒青色 |
生息地 | 外洋の潮間帯から20mほどの岩礁域 | 内湾などの潮間帯前後 |
貝殻 | 膨らみがありややもろい | 左右にやや平たい |
殻頂 | 鷲鼻状に曲がる | 丸みを帯びる |
「ムール貝」は、主に食用として流通するイガイの仲間、特に「ムラサキイガイ」を指すことが多いです。
一方「カラス貝」は見た目から「イガイ」の俗称として呼ぶ地域があり、特に大きく育った黒っぽい個体を指すことがります。
※「カラス貝」は淡水に生息するイシガイ科の別種も存在します。
イガイは、特にクロダイ(チヌ)の落とし込み釣りでよく使われるエサです。
他にもイシダイ、イシガキダイ、カンダイなどが釣れる可能性があります。
殻を外し、むき身にすると、カサゴやアイナメなどの根魚、カワハギなどが釣れることもあります。
釣り推しチャンネル様
釣り場で見るあの美味しそうなイガイ、本当に食べても大丈夫なのでしょうか?。
「ちょっとくらいなら…」「火を通せば平気でしょ?」そんな甘い考えが、とんでもない事態を引き起こすかもしれません。
岸壁に自生しているイガイ(ムール貝)を、何の確認もせずに自己判断で採取して食べることは、非常に危険な行為です。
岸壁に自生しているイガイ(ムール貝)は、見た目が美味しそうに見えても、貝毒や環境汚染のリスクがあり、非常に危険です。
安全性が確認されていない野生の貝類を自己判断で食べるのは絶対にやめましょう。
もしイガイやムール貝を食べる場合は、安全が確認された養殖ものや、信頼できるお店で購入するようにしてください。
貝毒とは、アサリ、カキ、ホタテ、イガイなどの二枚貝が、毒性のあるプランクトンを食べることで体内に毒素を蓄積し、その貝を食べた人間が中毒症状を引き起こす自然毒のことです。
見た目や匂いで判断できず、加熱しても分解されないため、調理しても無毒化できません。
人がこれを摂取すると、麻痺・下痢・嘔吐・最悪の場合は呼吸困難や死亡に至ることもあり、非常に危険です。
大阪市:大阪湾岸に自生するムラサキイガイに注意我々が安全に食べられるイガイは、各都道府県の水産試験場などが定期的に行う検査で、安全であると公表されている海域で採れたものに限られます。
「見た目がきれい」「水が澄んでいる」「去年は大丈夫だった」といった素人判断は避けるべきです。
市販されている二枚貝は、各都道府県が「貝毒モニタリング」という仕組みで、私たちの食の安全を守ってくれています。
釣り場で竿を出し、ふと足元の岸壁に目をやると、びっしりと黒光りする貝の群れ。
「こいつを酒蒸しにしたら最高だろうな…」なんて、釣り人なら誰しも一度は考えたことがあるはずです。
でも、その誘惑に安易に乗るのは絶対に待ってください!
しかし、この身近な海の幸には、命に関わる大きなリスクが潜んでいます。
それが「貝毒」の存在です。
そして何より恐ろしいのは、この毒は「加熱しても全くなくならない」ということ。
見た目や匂いで毒の有無を判断することも不可能です。
「去年は大丈夫だった」という経験則も、毎年、海の状況が変わるため全くあてになりません。
釣り場のイガイは確かに魅力的に見えますが、食べるよりも魚を呼ぶ自然の「撒き餌」として活用するのが賢い選択です。
釣りの知識として、生態やリスクを理解しておけば、釣果アップにもつながります。
安全と美味しさの両立を目指すなら、食用には市販のムール貝、釣りには天然のイガイと、この使い分けが鉄則です。
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